当館について

コンセプト

富士急行株式会社が創立75周年記念事業として、公益財団法人堀内浩庵会と共同で建設を計画し、2003年7月に完成したフジヤマミュージアムは、両法人が40年に亘り収集した富士山の絵画を展示しています。

古来富士山は実に多くの画家によって描かれて参りました。富士山への山岳信仰や『伊勢物語』等の文学的趣向を初めとし、独り聳え立つ峻厳且つ優美なシルエットやその時々に見せる変化に富んだ表情は、画家たちの創作意欲を大いに刺激したに違いありません。

フジヤマミュージアムはそのような作品の中から、近現代の画家が独自の視点で富士に挑んだ秀作を主体にコレクションしたものです。そこには芸術家の眼を通したさまざまな富士が見られます。

これから美術品の展示や教育普及活動を通じて、日本の財産である富士山の豊かな自然の美しさを伝え、それを守り続けるべく世界に 向け発信していきます。富士を愛する多くの人々が集い、自然や芸術にふれあう場所として、フジヤマミュージアムに親しんでいただければと願っています。

「霽れゆく」 小倉 遊亀 - 画像
霽れゆく Hareyuku
小倉 遊亀 OGURA Yuki

建築デザイン

外観は、森林部分との呼応を意識してバックサイドは石積みとし、展示部分は雪に染まった富士山をイメージさせ、ニュートラルな白を基調としています。

2階建ての建物は、全館を見渡せるアトリウムを中央に、スロープ状の回廊をめぐって絵を楽しめる斬新な造り。

500㎡あるフラットなアトリウムでは、四季折々の展示、ワークショップ、披露宴が開催され、複合的な用途に対応できるフレキシブルな構成となっています。

また、アトリウム天井には3層特殊ガラスを採用し、絵画に悪影響を与える紫外線等を除去しながら自然光を取り入れられるよう設計されており、美しい作品の数々を明るい環境で鑑賞していただけます。

建築面積: 約2,000平方メートル

延床面積: 約2,500平方メートル

設計者: 大江 匡(おおえ ただす)

プランテック総合計画事務所創業者

辰野賞、東京建築賞、建築業協会賞などを受賞。
代表設計建築物に細見美術館、Ai-City、恵庵、HKTビルなど

回廊式第一展示

柔らかい光が溢れる館内、アトリウムを囲うように展開しており、絵画は緩やかなスロープに展示されています。バーチャルな富士山(絵画/スロープを巡り上り下りすること)とリアルな富士山(現物の山/登山)が体感できることを試みており、山登りの道すがら、ひと休みして風景を楽しむように、富士の絵を鑑賞していただけます。

第二展示室

回廊式第一展示のちょうど中間地点、二階に位置する展示室は作品保護のため温湿度を保ち、光を抑えた空間となっており、浮世絵や掛け軸を中心とした繊細な作品を展示しています。